~全国の高校入試正答率を分析する【理科】~ 

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今回は全国高校入試の理科をまとめる。

2012年の学習指導要領改訂以降、理科の平均点は全国的に不安定で、2016年度入試では前年の平均点より10点以上下った県が8県もあるという荒れた入試となった。

その原因は、計算問題,記述問題の大幅な難化、そして、基本問題の出題数が減少した。

2020年の大学入試に向けて、早い県では既に「思考力・判断力・表現力」を問うような問題が大半を占めるようになってきた。

この数年で、この動きは全国的に広がっていくことが予想される。

その一方で、全国学力・学習状況調査(平成27年)によると、「理科の勉強が好きではない」生徒の数はおよそ40%。高校入試の得点分布からも、理科が苦手な生徒は増加傾向にある。

①計算問題は「物理」「科学」だけでなく、「生物」「地学」でも出題!

⇒今年も18県で出題されたのが「質量パーセント濃度」の問題。全国の問題を見ると、公式を覚えていれば解ける「物理」の問題が最も解きやすい印象がある。苦手意識から、つい計算問題を避けてしまう方でも、公式を覚えれば解ける問題は、対策次第で得点は十分可能になってくる。得点力UPのために、ぜひ対策をしておきたい。また「生物」「地学」でも多数計算問題が出題されるようになっている。(地震の発生時刻など)高得点を狙う為には計算問題を確実に取っておきたいので、上位校を目指す方も対策は必須になってくる。

②化学で頻出の化学反応式・イオン式はパターンが少ないのに低正答率が目立つ!

⇒今年も40県近い県で出題された。「塩酸+水酸化ナトリウム」「鉄+硫黄」は定番で、次に多いのが「銅+マグネシウムの酸化、酸化銅の還元」。イオン式は、「塩化銅・塩化水素・水酸化ナトリウムの電離」が頻出だが、化学反応式に比べると、正答率は低くなる。入試で確実に点数を取るためにも必ず対策をしておきたい。

③今年は少なかったが「複数分野融合問題」に注意!

⇒去年は一気に出題数が増えた問題だが、今年は出題数が多くはなかった。理科は年によって大きく出題傾向が変わるので、2020年の大学入試改革へ向けて「複数分野融合問題」が増加することが予想される。理科が得意な子は、他県の入試問題を解いて準備してほしい。

④知識と考える力が重要!記述問題は「知識&分析&解釈」を重視した問題が主流に!

⇒今年の記述問題は過去5年間で最も多くなった。(しかし県によっては問題数にばらつきがある。)近年は知識や実験結果を問う問題だけでなく、「実験の手順(意味)を問う問題や、(結果や条件を)推測して考える問題」の出題に傾向が変わりつつある。記述問題は正答率が低く、理科が得意な子にとって差をつけられる問題。「この実験は何を目的にしているか、そのためにどんな条件が必要なのか、なぜこの結果になったのか」を重視した学習が大切になってくる。

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